JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」は10月15日に運転開始が予定されており、いよいよ準備も大詰めを迎えている。今月は黒いカバーに覆われた状態での試運転がメイントピックとなった。


回レDF200-7001+客車(日豊本線 北川~市棚)

8月1日には前月に小倉工場に甲種輸送された日立・下松工場製の客車4両にJR九州の小倉工場で艤装された3両を加えた7両のフル編成が小倉工場付近に姿を見せた。小倉工場に付属する線路で行われたこの試運転には当然のようにDF200-7001が登板し、ようやくななつ星編成のお披露目となったが、これら8両全車が黒いカバーラッピングに覆われた状態であり、鮮やかな古代漆色の姿はお預けとなっている。


回レ DF200-7001+客車(日豊本線 霧島神宮~国分)

この後はお盆の多客期を迎えたこともあり、ななつ星編成は動きを見せなかったが、お盆が終わるとともに活発な試運転がスタートした。15日の深夜には日豊本線西小倉~宇佐間75kmを往復し、続いて17日の夜には長崎本線を踏破して、長崎地区での試運転に入った。1週間にわたって試運転を行った後、24日の夜に長崎を発つと長崎・鹿児島・久大・日豊の各線を経由して鹿児島中央まで堂々606.8kmを一気に走破している。このロングランでは宮崎県に入るころに日の出を迎え、鹿児島中央まで白昼堂々の走行を見せた。


DE10 1755+客車+DF200-7001(鹿児島中央駅)

鹿児島地区での試運転は到着した25日の夜から開始され、29日まで鹿児島中央~南宮崎を往復した。夜間から早朝にかけて行われたこの試運転では鹿児島に常駐するDE10 1755を下り方鹿児島中央方につないだプッシュプルの形態がとられ、復路では国鉄色のDE10が先頭に立って走行するシーンも見られた。この試運転の後、30日には再び日豊本線を日中に走行して、大分車両センターまで北上している。


回レ DF200-7001+客車(日豊本線 日向市~門川)

これらの試運転は乗り心地のチェックを目的にしていたということで、今回得られたデータは試運転と並行して進められている客車車内の仕上げにもフィードバックされることだろう。また7月にも行われた気動車を客車に見立てた試運転も継続されている。


回レ DF200-7001+客車(日豊本線 田野~青井岳)

このように仮の姿で試運転に臨んでいるななつ星編成だが、その細部にクローズアップしてみたい。まず客車は全7両編成が平屋構造の同断面に揃えられ、専用機関車とも屋根の曲線がそろうため、統一感を強く感じさせる編成外観に仕上がっている。編成は下り方鹿児島中央方から居室を備える寝台車を5両連ね、食堂車・ラウンジカーを上り方に配している。寝台車は編成端の1両は2室のデラックススイートを有し、他4両にはそれぞれ3部屋ずつスイート個室が設けられている。これらのスイート車は海側に個室を持つ車両と山側に個室を持つ車両が交互に連結されており、一見不思議な窓配置となっている。寝台個室はすべて2人用で、寝台車5両での定員は28人となる。


 回レ DF200-7001+客車(日豊本線 北川~市棚) 

技術的な面では、アルミダブルスキンと思しき車体が787系と同様のボルスタレス方式の台車を履いている。ブレーキ方式は不明だが牽引機のDF200との間に合計3本を引き通していることから1本のみを引きとおす24系やE26系などとは異なる方式が採用されている可能性がある。連結面には貫通路上に車体間ダンパのみを備え、連結器脇の車体間ヨーダンパは設置されていない。


回レ DF200-7001+客車(日豊本線 南日向~美々津)

電源はラウンジカーと食堂車の床下に備えられた比較的小型の発電機から供給される。空調設備は寝台車では個室ごとの制御を行うため、小型のものを個室につき1基ずつと通路などの共用スペースに2基の計5基を配置し、共用となるラウンジカーと食堂車は車端部に大型の2基を搭載している。また、車内では無線LANサービスが提供される予定であるため、食堂車の屋根上にはE259系やE657系などに設置されているものと同様のWiMAX用アンテナが設置されている。



 回レ DF200-7001+客車+DE10 1755(鹿児島中央駅)

黒いカバーラッピングが目を引くななつ星編成だが、それが仮の姿であることを表すように下のモールドが浮き出る瞬間もあった。そしてそのラッピングの下の艶やかな姿を目にする日もそう先のことではないのだろう。9月中にその姿をとらえられることを期待して、今月分の記事を終えたい。