お盆からの数日間、鹿児島空港の晩い夏を点描してみる。


B787は登場から3年目ということもあり、特別な存在から日常の被写体に変わりつつある。狙い目は特別塗装の2機だが、国内線では運用されているのはJA801Aだけであり、その難易度はなかなかに高い。


特別な存在ではないものの、特異な存在ではある。B787に対する平凡な低翼双発の中型ジェットという認識はその飛行を見ればすぐに覆る。主翼は大きくしなり、美しい立体形を構成する。


平凡で退屈な飛行機の代表格というような批判を受けがちで、自分自身そういった見方をしてしまいがちなトリプルセブンだが、ランディング時の迫力はピカイチ。6本のメインタイヤがランウェイ34をしっかと掴む。


鹿児島空港のメインランウェイは北風の34.ILSも34側だけに設置されている。この日は34の進入方向である空港南側に真っ黒な雲が立ち込め、一部の機体は16側に迂回して着陸を行っていたが、このサイテーションは積乱雲を軽やかな左ターンでかわして進入してきた。


こうした気象条件を伴う鹿児島空港は霧島の深い森に抱かれた小高い丘の上にある。自然のスケールに対してサーブの機影はあまりに小さく映るが、本土と離島を結ぶ確かな足である。

SNAあらためソラシドエアも九州と東京を結ぶ足として定着した感がある。旧SNA塗装で残っていたJA737Fが引退し、新カラーへの統一が完了した。B737-800も増えてきており、今後はB737-400の去就も気にかかってくる。


ANAにおいても-700/-800のNGシリーズが主流となり、B737第二世代の-500は伊丹や福岡、那覇といった空港以外では少数派となってしまった。鹿児島でも長らくB737が使用されてきた名古屋線・那覇線はすでにNGシリーズでの運航となった。

鹿児島の茶生産は静岡に次いで日本第二位で総生産量の約3割を占める。鹿児島空港の周辺でも生産が盛んで夏茶の収穫が佳境を迎えていた。

一方8月のスケジュールでは夕方の大阪便にB737-500が充当されている。ANKのロゴは消えたがエンジンカウルに描かれたドルフィンがうれしい。

一方スカイマークはB737-800でフリートが統一されている。機材は変わらないが路線の変動は激しい。現在鹿児島空港から羽田と神戸に就航している。今年度中にはA330が導入される予定だが、機材運用でもその柔軟さが発揮されるのだろうか。


スカイマークを脅かす存在となっているLCC。関空からのピーチと成田・名古屋からのジェットスターがともにA320で乗り入れている。特にピーチは搭乗率8割と高い利用率を誇っている。今年5月に就航したばかりのジェットスターのお盆の戦績は如何ばかりであっただろうか。


お盆の多客期は毎年ANAのジャンボが飛来して空港を賑わしていたが、残り運用機が3機となった今年はついにその姿を見せることはなく、JAL・ANAともにB777-300を飛ばして輸送力確保に努めていた。細長いシルエットの上に広がる空はもう秋模様。夕方には涼しい風が吹くようになってきている。